2009年2月13日金曜日

サイヨンが逃げた

訓練生サイヨン(仮名)。いぐさ縫製コース。

6月から訓練に来ていたが、一週間ぐらいで辞めた。

曰く、病気だったといっているが、訓練がつらかったからだろうと

僕はにらんでいる。きっと、また弱音を吐くに違いないと思ってた。

逃げたという表現は適切じゃないかもしれないけれど、

一週間休暇をくれ、といって去った。

一週間というのは本当かわからない。たぶん、もっと長くなる。



ことの発端は一週間前にさかのぼる。

サイヨンは朝、お母さんに怒られた。

そして、ファクトリーにやってきた。

いぐさマットの上に汚い足で立った。

汚れた。

教師ソパートが怒り気味に言った。

「きたない足でマットの上に立たないで!」

サイヨンは言った。

「これが村の足なんだ!」



それ以来、二人の会話はなくなったという。

「サイヨンは給与をもらったら去る」といううわさが

女の子の中でまことしやかに語られた。

その情報をキャッチ。

正直、第一の感想は「ガキか、おまえらは」。

そして、こういった問題が発生するのはともかく、

自力で解決できないのは、組織力の弱さだ。

ということで、この問題から学ぶことが多いだろうということで、

スタッフに指示。



「うまく二人と話し合って、解決してね」



スタッフであるソヴァンは、サイヨンを呼んで、諭した。

��諭したというより説教?)

ソヴァンが言った事はこうであった。

 ・ソパートの怒り方も問題かもしれないけれど、

  マットの上にたっちゃいけない。

 ・だから、ソパートに謝りなさい

 ・ソパートに謝るのは難しいかもしれないけれど、

  彼女からもっと学びたいと思うなら謝らなければならない
  


で、あえなく失敗。

サイヨンは給与をもらい長期休暇にはいったわけです。

諭されているときのサイヨンの顔は、泣いているのかむくれているのか

わからなかった。

ソヴァンと話し合った。

解決の方法は以下の三つ。

 1)ソヴァンが再度はなしをする
 


 2)他の女の子と話し合って、今回何がいけなかったのか、

  どうすればよいのか、考える。そして、他の子に動いてもらう。

  横のラインを活かす。
 


 3)ソパートにまず謝らせる。ソパートはあんまり悪くないけど。
 


で、2)も3)もビミョウと言われた。

その反論は権威理論とでも名づけられるものであった。

まず、カンボジアカルチャーでは上の人が先に謝るのはありえない。

しかも、この場合、サイヨンが発端なのだから。

サイヨンが謝ったらソパートも謝る。それで一件落着。



そこで、

「でもサイヨンは子どもだから、謝れないんじゃない?

上の人が先に謝ったら、彼女もそこから学ぶことは多いよね」

と言ったものの、カンボジア的にはありえないという。



そして、横のラインを強化し、同じ目線で語れる同僚からの説得という案を話す。

が、否定される。

いわく「横の人間にはパワーがない。パワーがない人からの説得は受けない」

じゃぁどうするんだ、と思ったが、2)はまだ可能性がある模様なので、

とりあえず、2)をやってみようよということになった。

続く。



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