訓練生サイヨン(仮名)。いぐさ縫製コース。
6月から訓練に来ていたが、一週間ぐらいで辞めた。
曰く、病気だったといっているが、訓練がつらかったからだろうと
僕はにらんでいる。きっと、また弱音を吐くに違いないと思ってた。
逃げたという表現は適切じゃないかもしれないけれど、
一週間休暇をくれ、といって去った。
一週間というのは本当かわからない。たぶん、もっと長くなる。
ことの発端は一週間前にさかのぼる。
サイヨンは朝、お母さんに怒られた。
そして、ファクトリーにやってきた。
いぐさマットの上に汚い足で立った。
汚れた。
教師ソパートが怒り気味に言った。
「きたない足でマットの上に立たないで!」
サイヨンは言った。
「これが村の足なんだ!」
それ以来、二人の会話はなくなったという。
「サイヨンは給与をもらったら去る」といううわさが
女の子の中でまことしやかに語られた。
その情報をキャッチ。
正直、第一の感想は「ガキか、おまえらは」。
そして、こういった問題が発生するのはともかく、
自力で解決できないのは、組織力の弱さだ。
ということで、この問題から学ぶことが多いだろうということで、
スタッフに指示。
「うまく二人と話し合って、解決してね」
スタッフであるソヴァンは、サイヨンを呼んで、諭した。
��諭したというより説教?)
ソヴァンが言った事はこうであった。
・ソパートの怒り方も問題かもしれないけれど、
マットの上にたっちゃいけない。
・だから、ソパートに謝りなさい
・ソパートに謝るのは難しいかもしれないけれど、
彼女からもっと学びたいと思うなら謝らなければならない
で、あえなく失敗。
サイヨンは給与をもらい長期休暇にはいったわけです。
諭されているときのサイヨンの顔は、泣いているのかむくれているのか
わからなかった。
ソヴァンと話し合った。
解決の方法は以下の三つ。
1)ソヴァンが再度はなしをする
2)他の女の子と話し合って、今回何がいけなかったのか、
どうすればよいのか、考える。そして、他の子に動いてもらう。
横のラインを活かす。
3)ソパートにまず謝らせる。ソパートはあんまり悪くないけど。
で、2)も3)もビミョウと言われた。
その反論は権威理論とでも名づけられるものであった。
まず、カンボジアカルチャーでは上の人が先に謝るのはありえない。
しかも、この場合、サイヨンが発端なのだから。
サイヨンが謝ったらソパートも謝る。それで一件落着。
そこで、
「でもサイヨンは子どもだから、謝れないんじゃない?
上の人が先に謝ったら、彼女もそこから学ぶことは多いよね」
と言ったものの、カンボジア的にはありえないという。
そして、横のラインを強化し、同じ目線で語れる同僚からの説得という案を話す。
が、否定される。
いわく「横の人間にはパワーがない。パワーがない人からの説得は受けない」
じゃぁどうするんだ、と思ったが、2)はまだ可能性がある模様なので、
とりあえず、2)をやってみようよということになった。
続く。
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